2023/12/21

⚫︎連続講座のスライドを作っていて、話を、石膏デッサンとレオナルド・ダ・ヴィンチから始める必要があるのではないかと思い始めた。オーソドックスな近代絵画的な三次元表象を、デッサンの技術として完成させたのがダ・ヴィンチではないかとぼくは考えていて(三一致の法則的な時空設定と、向こう側へと回り込んでいく形の描き込みなどにより、ブルネレスキやウッチェロによる遠近法を、ものの描写においてより細やかに洗練させた技術として)、そしてダ・ヴィンチが完成させたものを教育的に体系化したものが石膏デッサンではないかと思っている。そして、この近代絵画的三次元表象の(石膏デッサン的な)技術を、子供の頃からみっちりと仕込まれていたのがピカソだ。マティスさえも、初期はそこから出発している。それがどういうのもなのかをまず示してから、その三次元表象の重力を、ピカソが、そしてモダニズムの他の画家たちが、どのように(乗り越えた、というよりも)吹っ切っろうと努力したか、ということを「おさらい」として、まず示さないと、その先に行くための(アバンギャルドであることの)必然性が見えてこないかもしれない、と。これは「おさらい」のレベルの話なのだが。

(おそらく、グリーンバーグにおける単一基底面としての絵画の平面生へのこだわりと、自然で連続的な、三一致の法則的な、絵画における三次元的な空間表象の重力とは密接な関係があると思われる。)

(ここで「近代絵画」には二重の意味があり、広い意味での近代絵画はルネサンス以降から20世紀のもので、狭い意味での近代絵画は19世紀後半から20世紀前半の時期のものを指す。この連続講義では狭い意味での近代絵画を扱うが、それは当然、広い意味での近代絵画との深い関連がある。)