⚫︎20日にあるピカソとマティスについての講義だが、スライドを作っていたら、思いの外、ルネサンス部分のボリュームが膨らんだ。できる限りコンパクトにするつもりだが、ピカソとマティスの話をするにあたって、前提として、遠近法についてと、レオナルドの描写の革新性について押さえておく必要がある。さらに、遠近法は「一つの方法」であって「法(法律)」ではない、というのも重要。遠近法は、できたそばから既に破られているし、それが狭義の近代絵画につながっている。
下の画像は、ヴェロッキオ「キリストの礼拝」(1472-5年頃)で、ヴェロッキオが描いたヨハネの顔(右)とレオナルドが描いたと言われている天使の顔(左)の比較(ちょうど反転したようになっていて比較しやすい)。ヴェロッキオは輪郭線に囚われて骨格を捉え損ねているが、レオナルドははじめから平面上に三次元空間を想定して、その中でモノ(顔)の形や構造を捉えている(画像はWikipediaにあったものを加工した)。この感じは、レオナルド以前にはないものだ。
(そしてこのレオナルド的空間把握と、遠近法とは別のものだ。)
⚫︎『心が叫びたがってるんだ』を中心とした超平和バスターズ三部作についての大学の講義では、同じ岡田麿里脚本作品として『フラクタル』について、チラッとだけ触れようと思う。