⚫︎自分の作品の解説(分析)を自分でする、という野暮なことをしてみる。
・基本設定
1.いろがみや方眼紙、英語筆記ノートなどの紙を、いろがみと同じサイズの正方形に揃える。
2.その正方形の紙を、全く同じ形に二つに千切る。
3.色やテクスチャの違う二つの形ができるが、その二つの形は、一つの輪郭線を共有している。つまり、作品を形作る要素(輪郭)は、直角に交わる直線と、一つの輪郭線だけである。
→一定のリズム感、秩序感を期待できる。
4.二つに千切られただけの正方形は、作品を構成する部分(要素)であると同時に、それ自身が「一つのフレーム」であるという感覚を強く残しているので、作品全体のフレームの中に、自律した別のフレーム(かつてフレームだった名残を色濃く残すもの)が多重に重なることになる。
5.全体(フレーム)と要素(フレーム)とが同等な地位である状態が目指されている。
(支持体である台紙も「紙」であり、描画材(描画要素)であるいろがみや方眼紙も「紙」であり、存在としての違いはなく、故に役割の違いも決定的ではない。)
・「この作品」で実現したと思われる状態。
まず、茶色、紫、青、と二種類の黄色の五色からなる場がある(目に入る)。
その背景に二つの上下にズレた、正方形を感じさせる方眼紙、英語筆記ノートによる形があって、そのズレが全体に動きを作っている。茶色と紫と青は、それぞれの色のパートが互いに乗っかり合うように、循環的に重なりあっている。
画面向かって右側では、強めの青と強めの黄色が同等な感じで対比されている。向かって左側では、強めの茶色と弱めの黄色が、強さの落差を持って対比されている。その両者をつなぐように紫のパートが絡まるように食い込んでいる。
鮮やかに見える茶色、紫、青の絡まり合いに比べると、やや後退しているように見える二種類の黄色の部分は、背景の白い方眼紙とは反対方向に上下にズレていて、背景と拮抗する動きを作っている。
鮮やかに見える茶色、紫、青の部分は、彩度が高いが輝度(目が感じる明るさ)は低く、黄色の部分は目に訴える強さとしてはやや劣る。しかし、黄色の部分は輝度が高く、「明るさ」という面では逆転している(黄色部分が、必ずしも他の三色に対して後退しているとは言えない)。
背景の白(方眼紙、英語筆記ノート)が一番明るいので、背景とは言い切れない(前に出てくる)。
これらのことが絡まり合って、どの部分もほぼ同じ強さと言えるような一つの状態(構造)が作られている。
(「基本設定」は意識的に設定したものだが、「実現したと思われる状態」は、このような状態を作ろうとして意識的に作ったのではなく、直感的に作ったものを、作った後に自分で分析的に見直してみると、こうなっているから感覚的に「完成」だと判断したのだろう、ということを言語化した。)