●『響け!ユーフォニアム』、第七話。うーん、一話から五話までのキレキレの感じに対して、六話、七話がイマイチだと感じられてしまうのはなぜなのだろうか。
田中先輩の抱える問題が一部明かされて、これから田中先輩の事情の方に深入りするのかと思いきや、そうではなく、吹奏楽部における田中先輩の「不在」を描くことによって、田中先輩のキャラを際立たせてゆくという方向に行く。
それはいいとして、コンサートの前日まで部活に来られなかった田中先輩が、コンサート当日にはちゃんとやってくるわけだけど、この時の田中先輩側の事情がまったく示されないので(今まで部活に出られなかったのに、なぜコンサートには参加できたのかまったく分からない)、「さすが田中先輩、大事なところはちゃんとおさえよるな」みたいな感じになって、今までの「田中先輩は特別」というイメージがまた反復されるだけで、今まで掘り下げられてきたやつはどこにいってしまったのか、みたいな感じになる。
母一人子一人という家族で、母親との間に問題があるというのはとてもヘヴィーなことで、田中先輩が絶望の深さ故に「あのキャラ」であるという説得力はとても強く出ていると思う(ああいう脆い感じの母親だと、子供の方から拒否する=見捨てることもできないだろう)。ただ問題が親子関係である以上、吹奏楽部のメンバーはそこには踏み込めなくなって、吹奏楽部としての問題と、田中先輩の側の問題とが途切れてしまって、物語とうまく絡まなくなる。今後、田中先輩の問題と吹奏楽部とをどう絡ませていくのだろうか。
コンサートには来られたとしても、「田中先輩は全国大会に出場できるのか」問題は何も解決されていないのだけど(勿論、この問題はこれ以降も継続されるのだろうけど)、コンサートが盛り上がり、部長が立派にソロを吹き切ることで、一定の「解決された感」を出されてしまうと、軽く誤魔化されたみたいな感じになって納得がいかないのかもしれない。問題は全然解決されていないという感じを強く出したままで、次回にいかないと納得できないのではないかと思った。このエピソードはここで区切れないというか、まだ、次の曲には行けないでしょうという感じがしてしまう。
(田中先輩が、一生あの母親となんとか付き合っていかなければならないことを考えると、いっそう、そんなすっきりっぽく終わらせられないだろうという感じが強くなる。)
(関西大会で「顔」が出なかった黄前の中学時代の友達を、ここで出してくるのか、というところは感心した。)
(最初の方の、黄前がふと横を向くことで捉えられた田中先輩の塞いだ表情のカットとか、それに対する黄前のリアクションとか、そういう繊細な表現はかわらずにすごいのだけど。)