●『エクス・マキナ』(アレックス・ガーランド)をDVDで観たけど、なんかすごく普通だった。シンギュラリティとか、AIとか、ビッグデータとか、それらに関する心の哲学だとか、そういうことにある程度関心があって考えている人なら、誰でも思いつきそうな話で、その範囲から一歩も出ていない感じ。興味をもっている人なら既に共有されているトピックをそつなくまとめた感じで、それに対する新たな見解とか、ユニークなアプローチとか、びっくりするアイデアとかがあるわけではない。最後までずっと、まあ、普通そうなるよね、という感じで進む。
(最先端で秘密の超ハイテク研究施設なのに、セキュリティが素朴なカードキーとかあり得ない、生体認証とかにするでしょ普通、みたいな、そういうツッコミがけっこうできてしまうという意味での「浅さ」もある。)
映画としても、そこそこよく出来てるよね、というくらいの感じ。
いやでも、こういう言い方は作品を不当に低く見積もってしまっているかもしれない。驚くような作品ではないけど、普通に面白いと言うべきかもしれない。変に難しく(深く)ないのは、多くの人が気軽に観られるからかえっていいところなのかもしれない。ぼくは、シェーン・カルースの映画みたいなぐちゃぐちゃに難解なやつを期待しちゃってたから肩すかしだったけど。
(はじめてAIが登場するシーンの演出は、『もののけ姫』ではじめてシシ神が登場するシーンの演出を真似ているんじゃないかと思った。)