●お知らせ。明日発売の「文藝」2008年冬季号(http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309977164)に、「目とレンズと星のしるし、あるいはカツオの発生/柴崎友香論」を書いています。あと、同じく、明日発売の「新潮」11月号(http://www.shinchosha.co.jp/shincho/newest/)に、保坂和志さんとの対談「世界の奏でる音楽を聴く」が掲載されます(これはジュンク堂での対談の採録ではありません)。
●その「文藝」に磯崎憲一郎の新作「世紀の発見」が掲載されていて、発売は明日なのだけど、ぼくのところには土曜には届いていて、つまりこの小説を読み始めて三日経っているのだけど、なのにまだ最初の2ページ分しか読めていない。雑誌掲載の形でちょうど最初の見開き2ページ分ほどにあたる、書き出しの1ブロックがあまりに面白過ぎて、ついつい何度も読み返してしまって、先に進めないのだった。つづきを読もうと思って本をひらいても、改めてはじめから読むと、そこが面白くて、なんと言うか、この場面を過ぎ去らせてしまうのがもったいなくて、いつまでもそこに留まっていたい感じで、最初のブロックを何度か繰り返してじっくり読んでいると、感覚が一杯に満たされる感じと、いてもたってもいられないムズムズした感じになって、もう、それ以上を本を読むことがつづけられなくなってしまう。
先月、ジュンク堂での保坂さんとの対談の時に磯崎さんにお会いして、エッセイ「古墳公園」をもとにこの夏に百枚の小説を書いたこと、それが次か、次の次の「文藝」に載るだろうということ、その小説でいままで『肝心の子供』と『眼と太陽』とでやってきたことはやり切った感じで、次はちょっと違うことをやりたいと思っていること、そして、はじめて自分の家族にも読んでもらいたいと思える小説が書けたこと、などを聞いていて、「文藝」は季刊誌なので次の次だと随分先になってしまうなあと思いながら、楽しみにしていたのだが、(その時からすると「次の」)「文藝」が送られてきてそこに載っていて、読み始めてすぐにガツンとやられた感じで、うわっ何だこれと思って、動揺して、ここは一旦呼吸を整えなくちゃと思って、そのまますんなりつづきを読むことが出来なかったのだった。