晴れているといえば晴れているし、曇っているといえば曇っている。うすーい雲が空一面を覆っている。しかしその雲は本当に薄くて、ところどころ空の青が透けて見えているし、雲を通過して、たくさんの光が地上へと降りてくる。それでも、太陽の位置はよく分らない。多少、じめっとした感じの空気。蒸し暑い、というほどではない。
大して寝不足という訳でもないのに、やたらと眠い。春眠曉をおぼえず、とか、そんな程度じゃない。地獄からの死者に、地の底へと足を引っ張られているかのように眠い。座っていると、そのまま溶けて、イスと一体になってしまいそうだし、立っていても、ちょっと気を緩めると、その場に崩れおちて、そのまま意識を失ってしまいそうに眠い。頭のなかいっぱいに拡がる痺れるような眠気が、首筋から肩へ、背中や腕の先きにまで、鈍くて甘い痺れとして拡がってゆく。この『眠気』は苦痛というよりも甘美で官能的ですらあるのだけど、今日はいろいろとやる事があるので、眠気の誘惑に身を任せて眠ってしまう訳にはいかない。しかし、この超ストロングな、半端じゃない眠気と闘うのはかなりキツい。昼過ぎに、なんとか時間をつくって1時間と少し昼寝することができたのだけど、そのくらいでは、すっきりするどころか増々眠気は増幅されてしまうのだった。
その後も、10分、15分と、時間をつくっては、隅の方で崩れるように眠ってみるのだけど(本当にその瞬間だけ、スッと、気を失うように眠れてしまう。普段は、決して寝つきの良い方ではないのに。)、一向にスッキリする気配がない。
やたらとストレッチしたり、意味なく歩きまわってみたり、うんと濃いコーヒーを何杯もガブ飲みしたり、深呼吸してみたり。それでも、全身を甘く痺れさせるような、頭のなかがラヴェンダーの濃い霧で霞んでいるような、強烈な眠気には何の効果も無いのだった。道ばたにでも何でも倒れこんで、そのまま丸まってでもいいから眠らせてくれーっ、という1日だった。