●電車から降りたところはホームの端の方で、少し歩いて戻って階段を昇り、自動改札を出て左に曲がる。(いつも思うのだが、自動改札機は切符を入れると、何もそんなに勢いよくなくても...、という勢いで暴力的にバシッと大きな音をたてて開く。)改札を出るとすぐに自動券売機が並び、切符を買うために並んでいる人たちや、待ち合わせで立っている人たちの塊で通路が塞がれ、その間をかき分けるように歩く。地面が湿っているので、自然と滑らないように意識した歩き方になっている。靴の底がキュッ、キュッ、と音をたてる。JRの駅を出て、地下鉄の構内に入るまでの間に、ほんの一瞬だけ「外」を通る。たった数歩なので傘はささずに手に持ったままで、少し濡れる。階段を下り、左に折れ曲がってしばらく歩き、さらにエスカレーターを下る。気のせいなのか、雨降りの日の地下鉄の構内は、音が籠って響き、そしていつもよりかなり近く聞こえる。急ぎ足で歩く人々の、カツ,カツ、カツ、という靴音。子供がはしゃいでいるかん高い声。トイレットペーパーを引っ張る、カラ、カラ、カラという音。清掃員が、何本ものモップを纏めて持って歩くので、一歩踏み出す度に、木製の柄の部分がぶつかってたてる、カチ?ッ、カチャッという乾いた音。