●展覧会が終わって、本当に何もすることがなくなった。完全に真っ白だった七月のスケジュールも、ぽつりぽつりと埋まったところがあるのだが(書評を書くとか、編集者と会うとか)、でもそれは、大洋のなかの孤島のようなもので、ほとんど何も決まっていない一ヶ月の時間が目の前にひろがっている。こういう時にこそ、絵が描けるのだし、本が読めるのだが、まだいろいろと終わったばかりで、ぼーっとしていて、メールの返事さえ手がつけられていない。
●地元のブックファーストに、七月半ばで閉店するという張り紙があった(『天然コケッコー』は全巻ここで買った)。駅周辺に一時乱立していた大型書店も、これで、ぼくが大学に入ってこちらへ越してきた二十年前から既に老舗っぽくあったくまざわ書店のみになる(ブックファーストの前は三省堂だったので、また別の本屋さんが入るのかもしれないけど)。その、くまざわ書店も、四階と五階のフロア(芸術書、理工学書人文書のフロア)は、営業時間が短縮されていた。本屋さんはどこも大変なんだなあと思った。
編集者から聞いた話を思い出した。ある作家が自分の本の宣伝のためのポップを手書きで書いていて、字を間違えた。そしたら、その書店の人は、新しいポップを持って来るのではなく、折り紙みたいなのを貼って、それを上手く誤摩化した、と。ポップ一枚って、一体いくらなんだよ、という話なのだが、気持ちとして、そのくらい厳しい感じなのだなあ、と。いや、はじめから折り紙貼って飾ろうと思ってたのかもしれないけど。あるいは、作家に改めてもう一枚書かせるのは申し訳ないと思ったのかもしれないのだけど。