●「君は天然色」をはじめて聴いたのは中学二年で、家族旅行ではじめて飛行機(国内線)に乗った時(「家族旅行」などというものが鬱陶しくなっていた時期だ)。機内放送で、当時発売されたばかりの(発売前だったのかもしれない)「A LONG VACATION」のプロモーション放送のようなものをやっていて、そこで流れた(確か他に、「恋するカレン」と「カナリア諸島にて」も流れたように思う)。大滝詠一のインタビューとかもあった気がする。
備え付けのイヤホーンで聴く放送で、いくつかチャンネルが選べるようになっていて、はじめてみる物珍しさで適当にがちゃがちゃいじっていて、偶然にそれを聴いた。とにかく、それはぼくにとってはまったく未知の何かで、なんだこれはという衝撃とともに、大滝詠一という未知の名前を受け取った。声からも曲からも、どんな人なのかというイメージを掴むことが出来なかった。勿論、キャリアなど何も知らないから、まったく掴みどころのないものとして、いきなり現れ出た不定形な存在として、それを聴いた。放送はループしていたので、何度か繰り返して聴いたと思う。
ずいぶん久しぶりに「君は天然色」を聴いてみても、その時の機内の様子や自分の感情などをありありと思い出したりはしないけど(それは今ではもうあまりに遠くにある)、ただ、その時の衝撃の感じ、知らないものに触れた、つかみどころのない感じは、ずいぶんと薄まってノイズも混じってしまっているとはいえ、確かにそこから聴こえてくるように思った。
駒場で23日にあるセミナーがすごく気になる。「外界を観る 認知・発達・動態・迅速な進化」
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