●『クイズとき子さん』の、原作者朗読つき絵コンテ動画、31話から67話まで一気に観てしまった。67話で完結していた。
https://chuun.ctv.co.jp/program/11
正直言えば、31話以降はかなりテンションが下がっていたかなあと感じてしまった。話が「宇宙意識の会」に集中してしまった分、物語世界の広がりがかなり抑制され、展開の描く線が単調になってしまった感じになったし、無駄な繰り返しや明らかな停滞が随所に感じられた。「宇宙意識の会」の組織のあり様が、よくある新興宗教やあやしいセミナーの紋切り型のイメージからあまり出ていなくて(平田のキャラも、途中からあまり魅力的ではなくなってしまったし)、この会のあり様が、もうちょっと違った、紋切り型ではない形で造形されていたら随分違っただろうとも感じた。
(「宇宙意識の会」が前面に出てきたことで、かえって、平田くんが自分のもつ「病」を、「この社会」との関係のなかでどのように折り合おうとしていたのかということの「具体性」が消えてしまった感じがした。とき子さんの思考が、常にクイズという具体的な形をとるのに対して、平田の「教義」や「ヴィジョン」はあまりに単純すぎると感じてしまった。「マッチ箱をトントントンとゆすると次第に均整がとれてくる」、という単純な比喩に頼り過ぎだし。)
前半に比べて、後半は「薄まってしまった」という感じはあるものの、しかし、全体としてかなり面白い作品であることに変わりはない。途中で、停滞と逡巡の罠にはまってしまった感があるとはいえ、最後まで、展開の方向性を大きく踏み誤ってはいなかったと思った。
アニメ版が、原作の後半にあらわれた停滞と弛緩をどう乗り越えていくのかということにも興味がある。