●『未明の闘争』の42章から最後までつづく猫たちへの記述は圧倒的だった。いろいろな意味で読んでいてとてもヘビーなのだけど(ちょっと気を抜くと因果関係が全然分からなくなるし)、でも、この部分に関しては、力を振り絞って、集中して一気に読む(一塊りとして受け取る)のがいいのではないかと思った。
(あと、途中にある、延々とつづく山下公園の描写も、坂道をダッシュで登るような感じで一気に越えてゆくと、違った風景がひろがる感じになる。)
●「群像」11月号の保坂さんと磯崎さんの対談をパラパラみていて、村中鳴海がどうやって登場したのかを思い出した。磯崎さんが保坂さんに、村中鳴海を(中村という仮名で)登場させた時点ではあんなに重要な人物にしようとかいう先の展開は考えてなかったんですか、というようなことを尋ねた時の保坂さんの答え。
≪考えているわけない。誰だと思ってるんだ、俺を(笑)≫
●保坂さんのなかの村中鳴海を解放させたのがリンチなのかもしれないと、ちょっと思った。
●確かに、イザペラ・バードの富士山の絵は、初期のセザンヌみたいに異様だ。