●ずっと、『半島論』のイベントと、その翌々日の鼎談の準備。もともとしゃべるのは苦手なのだけど、自分一人でしゃべるのではなく、複数の人と話す場合、他の人がどんなことを言うのかを事前に予測できないので、準備といっても、何をどこまでしていいのか分からなくなって、準備も注意も拡散してしまいがちだ。
●以下、『半島論』に収録されている「突端・行き止まり・迷路・穴・模造/『海辺へ行く道』シリーズの半島的空間性」の冒頭部分。
《一 「半島」のフォーマリズム
半島(岬)とは、形態的に考えれば海へと突きだした陸地であり、その反転形として陸地へと食い込んだ海として、入り江(湾)という形があると言えるでしょう。この、岬(陸)と湾(水)という反転的な形態のペアを、襞のように細かく、細長くしてうんと拡張してゆくならば、海に流れ込む大河によって区分けされる土地ともなり、縮小すればリアス式海岸や港に並ぶ突堤と同型となり、さらに、運河が縦横に通り、運河によって区分けされた街というようなイメージにまで、その同型性は拡張されていくでしょう。
とはいえこのようなフラクタル的なイメージの拡大や縮小は、半島と入り江という反転的イメージがペアとなっていて、それがいくつも並列的に並んでいるという条件の元で可能になります。しかし通常、半島という言葉のもつイメージとしては、単独に海へと突きだした土地としてあるようなものでしょう。そうだとしても、半島を入り江との反転的ペアとその並列として考えることにより、あらゆる空間のなかに、そして様々なスケールにおいて、形態的類似性としての準-半島(準-入り江)という形を見いだすことが可能になります。》