●穴の空いた絵画、あるいは、台紙のない貼り絵。
一枚目と三枚目は、厚紙を台紙的な感じに用いているけど、台紙の方も破かれていて、連続性がない。通常、色紙と色紙とを台紙が繋げる。つまり、台紙が色紙の配置を可能にする地となるのだけど、ここではそもそも台紙に連続性がないので、台紙と台紙とを色紙が繋げてもいる。図と図が地によってつなげられるだけでなく、地と地が、図によって繋げられもする。
(視覚的、イリュージョン的には、図と地は常に反転するのだけど、それだけでなく、物質的、構造的にも図と地が反転する。)
(1)支持体(台紙)に依らずに複数のピースの直接的な貼りあわせによって出来ている。支持体が前提とされない。(2)ピースは紙なので、貼りあわせても平面として現れる。つまり、絵画と言える。(3)平面であっても、貼りあわせたものなので、(絵の具で描かれたものよりもはっきりと)層構造=前後関係を正確に見てとることが出来る。(4)物質としての層構造(ある意味、彫刻的構造)と、現われ(イリュージョン)としての画面=平面(絵画)の構造は別であり、それが同時に現れる。描くこと(イリュージョンやイメージの構造をつくること)と、作ること(物質的、彫刻的構造をつくること)とが、一つの行為として同時に進行する。