2021-09-20

●講義のために、スキャンした小説を場面ごとに割ってスライドに貼り、それを読んで気づいたことを、スライドの別のページに書き込んでいくという作業をつづけているのだが、こうやって読むと、本で読んでいる時には流してしまいがちなところで何度も立ち止まって考えることになる。

場面で割るといっても、現代の小説がそんなにいつもきれいに「場面」で割れるとは限らないので、「場面割り」の段階でそれなりの解釈が必要になる。本で読んでいると、面白いと思う表現にはとびついて、それについてはいろいろ考えるのだが、いまいちピンとこない部分はスルーしがちだが、こういう作業をしていると、ピンとこないところこそ、なんでここでこういう表現なのか、と、立ち止まって考えることになる。そういう風にして読んで、ムージル「トンカ」の印象がかなり変わった。

スマホで無料で仕える自動読み上げアプリを試したが、漢字の読み間違いが多くて(文脈にあわせた適切な読みが選択できない感じ)、ちょっと講義では使えないかなあ、と。まず、テキストスキャナーでテキストをスキャンして、それを読み上げるのだが、スキャンする段階で、難しい漢字だと認識し損なうことも多い。「夫人」という文字を数式みたいに認識したりする。

ただ、人口音声の抑揚のない感じは、抑揚過多の人間の朗読よりずっといいと思うので、もうちょっと正確になったらとてもよいのではないかと思う。

(テキストスキャナーそのものはすごく便利。はじめから全部手で打ち込むのに比べれば、自動的にテキスト化されたものの、明らかにおかしいところを後からチェックする方がずっと楽だ。)

結局、自分で読むしかないか、と。