重たい曇り空。暖かめ。昨日、雨だったから、わりと湿っている。こういう空気感は、この季節には珍しい。大家さんの家の縁側で猫が寝ている。毎日通っている、駅前のスーパーへ行く直線の道。信号待ちで一旦止まる。スーパーの店頭では、相変わらずモーニング娘。LOVEマシーン
今日は一日体調が悪い。だるいし、頭がボーッとしている。動く気がしない。だらだらしてる。気がつくと、「 二時のホント 」なんかをぼんやり見ている。こんな生活じゃ駄目でしょう。毎年、忘れた頃にやって来る、税金の請求書。
ジョン・ヒューストンの遺作「 ザ・デッド 」を観る。驚くほど、ジョイスの小説に忠実につくられている。オーバー・シューズというのが、どういうものなのかが、初めて分かった。思いの外、慎ましい映画で、ジョイスに対抗しようなんて野心が少しもない感じ。それでいて、登場する人物の顔を見ただけで、それが誰なのかがすぐに分るような絶妙のキャスティングになっていたりと、とても丁寧につくってある。目に見える部分をしっかりと見せている一方、小説のクライマックスと言える、ラストちかくの、有名な意識の流れと言われる手法の萌芽がみられる場面などは、さらっと流していて、さすがに心得ている、という感じ。小説に忠実ではあっても、小説の最も感動的な部分をあっさり流しているところなんかか、映画作家としての野心だと、言えば言える。
ヒューストンはこの二十世紀最大の作家が二十代で書いた小説が本当に好きだったんだろう。ぼくも「 ダブリン市民 」という小説全体が好きかと言われるとそうでもないのだけど、「 ザ・デッド 」はすごく好きです。だけど二十代でこんな小説書くかなあ。幽霊が集まってダンスしてるみたいな話。
 『現実と虚構との間の平等と友愛』
という言葉をたまたま読んでいた本のなかから見つける。前後の文脈とは無関係に、この部分だけ頭に飛び込んできた。だるいと本読んでても、意味がなかなか繋がらない。