濃い靄がかかっている。2、30メートル先の視野もおぼつかないくらい。冬の日の輝くような曇り空が地上に降りてきたような感じ。
今朝はやけにホームに人が溢れている。電車のなかはそれほど混んではいないのだけど。ホームに溢れた人たちが階段へ向かって、乗り換えの通路へ向かって、ダダーッと移動する。少しでも早く進もうという人が、階段の昇り口へ横から次々と侵入してくる。その結果、階段のあたりの人の流れは滞り、膨れあがる。
ホームでサラリーマン風の男とすれ違うときに、その男の持っていた堅いカバンの角が、ぼくの膝に直撃する。か、角が、膝に・・。あまりの激痛に声も出ず、しばらく立ち止ってしまう。そのことでまた、人の流れが滞り、膨れあがる。男は、気づきもせずに行ってしまう。仕方ないので、片足でピョンピョン跳ねながら、進んだ。
ドブ河の、黒く濁った流れの真ん中から生えている、細くて、茶色く、ゴツゴツした、人の骨のような形の植物が、電車の窓から見えた。
明日からセンター試験。クリスマスにも正月にも興味はないのだが、なぜかこの受験の時期になると心の平静が乱れがち。それはぼくの受験生時代が長過ぎたことの後遺症。一体何度この試験をうけたのやら。ぼくは、共通一次センター試験も両方経験しているのだった。ははははははは。今だから笑えるけどね。
午後になると、靄はすっかりとれて、冬の日の、シルバーでメタリックな光り。
しかし、どんな場所にでも、簡単な事柄をわざわざひねくりまわして、状況をめんどくさいものにしてしまう奴がいる。あー、めんどくさい。
ヤブツバキ、ハナカイドウ、タブノキサルスベリ、ヤマモモ・・。
ここの緑地は、ひとつの山、というより小さな丘、を丸ごとそのまま東京都が保存しているもの。外から見るとたいしたことないけど、中に入ると、まあまあ深くて入り組んでいる。しかし、車の音や、工事の音なんかは、ずっと聞こえているけど。昨日、一昨日の雨のため、土がいい感じに泥濘んでいて、空気の湿り工合も気持ちがいい。しばらく来ないうちに、落葉樹の葉がほとんど落ちて、鬱蒼としていたのが、見通しのよい空間になっている。
まだ落ちずに、萎れたまま枝についている赤や黄の葉と、枝に絡まっている蔦状の植物のつくる面白い表情=暖色。その背景の青白い空。
お汁粉を作ってもらって食べた。餅の焼けた香ばしい香り。