●そろそろ鼻が花粉に反応しはじめた。でもまだ空気は冷たい。ぽーっとつっ立っていたら、道路を挟んで向かいにあるパチンコ屋のシャッターが、ギュルギュルルルルルル、と大げさなノイズとともにゆっくりと開きはじめた。(午前10時ちょっと前。)店のなかから店員が2、3人出て来て、店の前のタバコの吸い殻などを掃除する。ひととおり掃除が終わると、正面のガラス戸が開かれる。パチンコ機の発する派手な電子音と威勢のいい店内放送とともに、音楽が大音響でかかり、それらの音は、車も頻繁に通っている道路を挟んだこちら側まで聞こえてくる。と言うか、それらの音は雑踏の雑音と混じり合った時だけ音として聞こえていて、その(店の)内部では、音を聞こえなくするための音、外の雑音を遮断するための音として機能するのだろう。開店して一曲めは「ハローミスターモンキー」で、二曲めは「ジンギスカン」だった。