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●大道珠貴『傷口にはウォッカ』の書評を書くことになったので読み返している。改めて読み返して、増々過激になってゆく大道的脱力感に、軽い抵抗を感じつつ、強く惹かれてしまう自分(の感情)をどう処理したらよいのか、と、とまどう。頻繁な改行や、小説の文章とは思えないような投げやりな表現が、主人公のグズグス、グダグダ具合と重なりあう。大道氏は、小説から一切の緊張感や抵抗感を排除しようとしているかのようだ。そしてそのことが、どこか生真面目さを捨て切れない「読者(ぼく)」に軽い抵抗や緊張を生じさせるのかもしれない。いま、何の気なしに書いてしまったけど、これは大道氏の小説において、かなり重要なことではないだろうか。書評の原稿に書くかもしれないので、ここではこの点をこれ以上追求するのはやめる。