●3月に入り、日も長くなったというのに、朝晩の冷え込みは依然として厳しく、なかなか緩んでくれない。しかし、昼間は随分と寒さが緩んだ。恐らく、近くでしている道路工事の交通誘導をしている人だと思うのだが、おっさんが一人、日当たりの良い、畑の隅っこの、枯れかかった雑草の生えているあたりで眠っていた。そこはスーパーのすぐ先の道路脇で、車も人も多く通る道に面していて、いきなり気がつくと、人が倒れていると思って驚くのだが、そのおっさんがあまりにも満ち足りた顔をしているので、眠っているのだと分かるのだった。いくら日が当たっているとはいえ、眠ってしまうには風が冷た過ぎるのではないかともと思うのだが(車も通るのでホコリも立つし)、交通誘導員が着る、蛍光塗料の縞模様のはいった分厚い防寒着があれば、それほどではないのかも知れない。そんなことよりも、かすかに春めいてきた光や、土の匂いや草の匂いが、そして恐らく昼食後の満腹感が、残り僅かな休息時間を、昼寝へと誘ったのだろう。