●昼間のうちはなんとなく誤摩化していたものの、夜になって本格的に風邪っぽくなってきた。とにかく眠ろうと思うのだが、喉が腫れてひっかかる感じで、うとうとしたかと思うと咳き込んで目が覚めてしまうのだった。仕方がないので、テレビをつけてぼーっと眺めていた。國村隼と小泉孝太郎がフライフィッシングをしている。孝太郎くん、引っかかったら少し間を開けてからこう竿を立てるんや、かかって、んー、パッ、や、この間や、ほら、どんどん糸を引かな、テンションはずっと保っとかな。國村隼が小泉孝太郎に教えている。ぼくは基本的にアウトドアとか興味がないのだが、なんか凄く楽しそうに見える。しくしくと軽い頭痛。耳鳴りというのとは少し違うのだが、耳の奥の方で、金属が擦れるようなキリキリという感触。
「6月の上旬までにやらなければならないこと」を、期限までにやれそうな目星がようやくついた。とにかくこれをちゃんとやり切ってしまわなければ、読みたい本をゆっくりと読む余裕もないのだった。これはぼくにとってまったくの未知の経験で、辛いけど面白い、と言うべきか、面白いけど辛い、と言うべきか、どちらにしろ、やる前に覚悟していたよりはずっと面白かったし、辛さも少なく、得難い経験だったのだが、ただ、これは権力を行使する責任ある行為であって、ひしひしと伝わってくる怨念のようなものを振り切らなければならない行為でもあり、そしてそれはそのまま、自分自身へと跳ね返ってもくることなので、そういう意味ではとても気が重いのだった。