07/11/28

●散歩をしていると、黒ずんだ畑の土の色さえもが、ほとんど戦慄のようにして迫ってくることがある。これは少しばかり病的なことなのだろうか。きれいに整備された畑の片隅に、三列にわたって、まったく手つかずで実のついたままに立ち枯れになっているナスが放置されていた。乾燥して焦げ茶色になって、くしゃくしゃっと縮まった葉や茎や実。
立ち枯れのナス以外は、何も植わってないきちんと耕された土がひろがり、ずっと遠くまで見渡せる。かなり先の方にある牛舎が見える。その前の道を自転車が通り過ぎて行く。
この時期に黄緑色の葉をみっしりと豊かにつけ、背高くたちあがり、たくさんのラッパ形の白い花を下に垂らすように咲かせている木立朝鮮朝顔を対岸の土手にみつけ、その姿にため息をつくしかないような動揺を覚える。眼が離せなくて、しばらく立ち止まって、こちら側の岸からそれを眺めていた。
大きな墓地の真ん中の道を突っ切る。この墓地の敷地の隅には、地割れのように深く切れ込んだ小さな川が流れている。川の向こう側は、たっぷりと敷地がとられた高級そうな(決して高層ではない)集合住宅があり、そちら側の岸には大きな木が密集するように生えている。こちら側からは切れ込んだ川で近づけず、(建物の裏手になるので)向こう側はそこの住人くらいしか近寄らないせいなのか、その木立ちからは、騒がしいほどに様々な鳥の声がこぼれ落ちてくる。でもその姿は、時折ぱたぱたと飛びたつ数羽が確認されるだけで、なかなか見ることができない。