●ここ数日、ずっと頭痛がつづいている。肩凝りと眼精疲労とに加え、この暑さで眠りが浅くてとぎれとぎれであることが原因なのだろう。バファリン飲んでも収まらない。本を読むのはそれほど苦にならないのだが、パソコンの画面を見つめるのはひどく苦痛だ。もともと目が悪く、しかも眼鏡もコンタクトも嫌なので、パソコンのフォントはやたらとでかくしていて、本の活字などようりはるかに大きいのに、何故、パソコン画面の文字を読むのはこんなに辛いのだろうか。画面と眼との角度の問題だろうか。
この週末は、地元では八王子祭りというイベントがあり、繁華街では山車や神輿が出たり、商店街ではハッピの子供たちが踊っていたり、国道沿いには屋台が並び、見物人もすごい人数が出て、街の中心部だけでなく、それぞれの地区の適当な空き地に盆踊りのヤグラが組まれているのがいくつも見られ、そこでは昼間っからハッピ姿のおっさんたちが、ビニールシートを敷いて車座になって酒を飲んだりもしていた。
ネットカフェで、若い批評家たちが討論している(というか、ぐたぐだと喋っている)動画を二時間くらい見て(聞いて)しまって、外に出ると11時を過ぎていた。駅へと向かう道は、さすがに昼間ほどに沢山の人はいないが、その空気には、つい少し前まで、そこが大勢の人でにぎわっていたのだという気配が濃厚に残っていた。人の体温によって上がった気温、人の汗のまじった湿気、という感触。夏の夜のしめった空気のにおい。香水とかコロンとか整髪料とかの甘いにおいの名残りが、時々とうとつにとても近い距離に迫ってくる。十代の子供たちのグループが横にだらっと広がって騒ぎながら歩いていて、道を塞がれて追い抜けない。うっとうしいと思いつつも、記憶の地層に触れるものも感じる。雨がぽつぽつと落ちてくる。電車に乗って一つ隣りの駅で下りたら、すごい大降りになっていた。傘を持っていないので、アーケードの屋根の途切れるところで立ち止まって、ぼけっと雨を見つめていた。そういう人は他にもいた。地面にぺったり座り込んで携帯をいじっている人もいた。地面から湿った熱気がのぼってくるのを感じる。雨は十分くらいで小降りになった。