●「ビリジアン」15回目は予備校の話だった。ルー・リードが道頓堀で釣りをしている話でもある。「おれの詩集が出てるはずやから、本屋に行ってみたらええわ。真っ黒い本やから、すぐにわかると思うし」と《ルーさん》が言う。最後のページの左側に美術系予備校のアトリエの写真が載っていた。マルスのデッサンが見える。そういえばこのあいだ、同じ予備校出身だという人に会った。「古谷さん?、あっ、知ってますよ、参考作品で観ました」。美術系の予備校では、課題で提出された作品のなかから他の学生の参考になりそうなものをプールして置いておく。そのアーカイブが、その予備校の歴史と傾向をあらわす。「なんかこう、色がわーっときれいな感じの…」。予想もしないところで、身構える暇もなく、恥ずかしい過去に突き当たってしまった。動揺した。こんなところにもいきなり過去は顔を出してくるのか、と思った。