●写真を撮る時に重要なのは、フレームへの感覚、光への感覚、距離への感覚なんじゃないかと思う。それぞれは絡み合って関係していて、個々に切り離せるということではないのだが。
ぼく自身のことを考えると、距離の感覚が弱いように思う。同じ場所で何枚も撮り直すという時に感じているイマイチ感は、フレームが決まっていないというより、距離が決まっていないという感じであるようだ。
ぼくが撮りたいと思っているのは多分、特定の対象というより、そこに成立しているある関係だと思うから、ここで距離というのは、対象へと距離というより「諸対象への諸距離」みたいなことだろう。諸対象間の距離ということならば、それは関係-空間であり、どちらかというとフレームへの感覚によって対処するもので、その、諸対象間の距離=関係を最も適切に捉えることの出来る一点として、諸対象との諸距離が測られる。視点の視点性(というか主観性)が消えて、視点それ自身もまた空間(諸対象間の関係)の一部となるような一点を探す、というような感じ。
例えば、複数のタッチがある時、その諸タッチが統合される位置に視点があるのではなく、視点がそれらのタッチのうちの一つとなるような位置を探す、というような。
●以下は、九月の後半に撮った写真。