●夢のなかで目が覚めると、乱雑に散らかった部屋のなかに見慣れない札入れが落ちていた。踊り場を挟んだ隣の部屋は法事らしく、和尚のお経が聞こえてきている(実際に住んでいるアパートではなく、公団住宅の三階くらいの感じ)。財布はやけに安っぽいつくりで、というか、つくりかけでちゃんと縫製されていない。中には一万円札が一枚入っていたが、ペタッとしていて、小銭もカード類もない。ただ、「小○○」(漢字三文字の名字、小の後は忘れた)というハンコが入っていた。黒い財布だが、ブランド名が書かれて縫い付けられているタグがやけに鮮やかな青で、ワタでも入っているのかぷくっと膨らんでいる。膨らみを指で押してみると、カチッとスイッチが入り、ポンッという破裂音とともに部屋が振動した。隣で何かが爆発したらしい。えーっ、と狼狽えた。
●夢。水色のトタン張りの古い建物の前を通っていると目の前に白い鍋が落下してきた(陶器のような質感の白)。そういえば、この建物の前を通るのは三度目だが、三度とも鍋が落下するところに出くわしたのだと思い出した。
見上げると、大きく開いた三階の窓からおばあさんが外を見下ろしている。二階は二軒の飲食店になっているらしくて、その間の踊り場を割烹着に三角巾姿の従業員たちが忙しそうに行ったり来たりしている。
●夢。いつからだったか忘れるほど、長いことずっと砂浜で遊んでいた。久しぶりに防波堤を越えて驚いた。確かに、風は強かったかもしれないし、波も荒かったかもしれない。しかし、防波堤の向こう側がこんなに見違えるほどに変わり果ててしまうような強い台風が来ていたとは砂浜にいる時は思いもしなかった。そういう話を、変わり果てた風景を窓から一望できる高い建物のなかで話していた。そしてこれから、我々はその風景のなかを、自転車に乗ってどこかへ向かうつもりであった。
●夢。真ん丸で大きな月を見上げたとたん、青と黄色と白のキラキラしたものに分解して、消えてしまった。
●目覚めた時に最も強く印象に残っていた、左右対称の図像と谷川俊太郎の詩集に関する夢について、もう何も思い出せない。それは確か、鍋が落下してくる場面と連続していたはずなのだが…。
●最近はすっかり引き籠っていて(外に出かけてゆくお金がない)、月に二度くらいしか電車に乗らない生活なのだが、今日は京王線に乗って仙川へ松浦寿夫の絵を観に行った。プラザギャラリーには何年か前に一度行ったことがあったのだが、その時の仙川は人のいない出来たての街という感じで、印象的だったのは設置されたばかりの信号機にカバーがかかったままで、まだつかわれていなかったこと。でも今日は打って変わって、人でごった返す街になっていた。