●調べてみたら、マルチバースについてのまとまった解説本としては、『エレガントな宇宙』の著者ブライアン・グリーンが書いた『隠れていた宇宙』という本があって、邦訳も出ているということを知った(というか、その本持ってた、まだ読んでないけど)。昨日引用した「日経サイエンス」のサスキンドのインタビューで「ホログラフィック原理」というものについて触れられていて、ちょっと興味をもったのだけど、目次をみるとそのことについても書かれているようだ。
以下は、ホログラフィック原理について、「日経サイエンス」のサスキンドへのインタビューの記事からの引用。
反実在論を支持する関連の考え方に「ホログラフィック原理」がある。サスキンドとノーベル物理学者であるユトレヒト大学(オランダ)のトフーフトが1990年代半ばに定式化した理論で、ある体積を持つ時空のなかで起こっている事柄はその体積の境界で起きていることとして説明できるという考え方だ。
私たちはふつう、物体は3次元空間のなかを動き回っていると考えているが、それを2次元の面の上をべったりものが滑っていると考えることもできる。では本当の実在はどちらなのか。境界面なのか内部空間なのか? ホログラフィック原理はこれに答えない。≫
≪完全に古典的なレベルでは、あるものはブラックホールに落ちており、またあるものは落ちていない。しかし、そうした考えは間違っていることがわかった。
事象地平の外側で起こっている事柄と内側で起こっている事柄を分けて考えてはいけない。それでは同じことを冗長に記述することになる。ある1つのやり方で記述するか、別のやり方で記述するかのどちらかだ。これは、1ビットの情報がある決まった場所に存在するという旧来の考え方を捨てなくてはならないことを意味している≫。
≪(…)ある系をものすごく精密に記述したいとしよう。正確に測定するには高いエネルギーが必要になる。正確さをどんどん高めてゆくと、ついにはブラックホールを作り出すことになる。ブラックホールが持つ情報はすべてブラックホールの表面にある。だから、ある系に関する記述の精度をどんどん高めてゆくにつれ、その情報は境界面にたまっていく。
実在について記述する方法は2つある。境界に囲まれた時空の塊を実在と見るか、その境界の面積を実在と見るかのいずれかだ。では、どちらの記述が本当なのか? これに答える方法はない。物体を空間のなかにある物体として考えることもできるし、あるいはその空間を取り巻く境界上に存在する複雑で込み入った情報の集合として考えるこもできるが、そのいずれかだ。両方ではない。どちらか一方だ。≫
●ある系を精密に測定しようとするとブラックホールができてしまう…とか、実在は体積(モノ?)であるか表面積(情報?)であるかのどちらかであり、しかもそのどちらなのかは決定できない…、とか、ほんとに物理学って無茶なことばっかり言うよなあ……、と。面白すぎる。