●なんかすごい理論が来た(フェイスブックで三宅陽一郎さんがリンクしていた)。「ダークマター存在せず? 「エントロピック重力理論」と観測データが一致」。
http://news.mynavi.jp/news/2016/12/22/230/
《ライデン天文台(オランダ)の天文学者マーゴット・ブラウワー氏らの研究チームは、宇宙における重力分布の測定データを分析し、「エントロピック重力理論(ヴァーリンデ理論)」と一致する結果を得たと報告した。エントロピック重力理論は、2010年にアムステルダム大学の理論物理学者エリック・ヴァーリンデ教授が発表した重力についての新理論。重力とは「電磁気力」「強い力」「弱い力」と並ぶ自然の基本的な力ではなく、実は「見かけの現象」に過ぎないとする理論であり、発表当時、物議を醸した。》
《エントロピック重力理論では、重力とは「物体の位置に関する情報量の変化によって生じるエントロピー的な力である」と説明される。物体の位置が変動することによって、情報量としてのエントロピーが変化し、この変化が重力という形を取って現れるという。つまり、重力とは、エントロピー変化にともなう見かけ上の現象ということになる。》
《また、「情報」という概念を使って重力について説明しているところも、エントロピック重力理論の特徴である。三次元空間内の情報はすべて二次元平面に保存されるとする物理学上の仮説「ホログラフィック原理」とも深く関わっている。》
《ブラウワー氏は「ダークマターを仮定しても銀河のまわりの重力分布は説明可能である」と指摘する。つまり、今回の研究によってダークマターの存在が直接否定されたわけではない。ただし、ダークマターによる説明では、実際の観測で得られたデータと合致するようにダークマターの質量を決める必要がある。つまり、理論と現実を一致させるための自由変数として、ダークマターの質量が使われている。一方、ヴァーリンデ理論はこうした自由変数を利用しておらず、理論から直接導出した予測値が実際の観測結果と一致するという強みがある。》
●重力が、電磁気力、強い核力、弱い核力と並ぶ四つの自然の基本的な力の一つだというのは物理学の基礎の基礎だと思っていたけど、それがひっくり返るかもしれないということか。重力だけ、他の三つの力とどうも性質が違う、みたいな話は---ブレーン宇宙モデルとか---科学の啓蒙書とかでもよく出てくるけど、重力は、《物体の位置に関する情報量の変化によって生じるエントロピー的な力》で、《「ホログラフィック原理」とも深く関わっている》って、すごく面白そうな匂いがぷんぷんするけど、これだけでは雰囲気しかわからない。
●別の記事もみつけた。「新しい重力理論はダークマターを説明するかもしれない」
https://okuranagaimo.blogspot.jp/2016/11/blog-post_10.html
《簡単にいうと、マイナスに曲がった時空の中にある原子を構成する"ひも"のエントロピー再配列の間の相互作用から重力は現れると述べている。》
いや、全然「簡単」ではないが。
●上の記事のスラッシュドットの元記事。「New Theory of Gravity Might Explain Dark Matter」
https://science.slashdot.org/story/16/11/09/0031212/new-theory-of-gravity-might-explain-dark-matter
以下、この記事についたコメントの一部をグーグルで自動翻訳したもの。
《- 宇宙は小さな振動弦でいっぱいです
- 特定の振動モードは、「粒子」として認識されるものです。これらはエントロピーが少ないので、質量の存在は、より低い局所エントロピーを意味する
- 低エントロピーは何らかの形で緊急の副作用として重力を引き起こす。弾力性の理論に似たもの。
- 小さな鱗(例えば、太陽系)では、結果として得られる「力」は、私たちの古い重力式に完全に対応します
- より大きいスケールでは、体積のエントロピーは表面積によって制限されます。ホログラフィック原理のようなものですが、全く同じではありません。なぜなら、エントロピーは表面上だけでなくボリューム全体に保存されているからです。エンタングルメントのために実際には多くの文字列が同じ文字列になっていますか?それともそういうものか。
- これは、何とか大きな距離(例えば、銀河の尺度)での大質量の重力の影響を拡大します。理由は分かりません:おそらくエントロピーの低下は、期待されるエントロピーよりも低いため、予想される相対的効果よりも大きいでしょうか?
- ゆっくりとくつろいだ広い空間についても何かがありましたが、私はそこでプロットを失いました。それは重要と思われましたが。》
ウィキペディアの「エントロピック重力」の項から。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%94%E3%83%83%E3%82%AF%E9%87%8D%E5%8A%9B
《その論理は300年以上の論理をひっくり返すような論理で、重力は「物質の位置に関連付く情報」の結果である」と議論している。このモデルは、ジェラルド・トフーフトのホログラフィック原理を持つ重力と熱力学的アプローチを結びつけている。これは、重力は基本相互作用ではなく、ホログラフィックスクリーン上にエンコードされたマイクロスコピックな自由度の統計的振る舞いから創り出された現象であることを意味している。》
●うーん、最初の記事だけよりは、掴める雰囲気が濃くなったかなあ、くらいの感じか。というか、面白そうな匂いがするということしかわからない。「サイエンスゼロ」で取り上げてくれないだろうか。
●下はエリック・ヴァーリンデによる論文「Emergent Gravity and the Dark Universe」。いや、読めないけど。
https://arxiv.org/pdf/1611.02269.pdf