●『上海異人娼館 チャイナドール』という寺山修司の映画があって、この映画に、屋根の上にベッドが据え付けられ、そのベッドに裸の娼婦が手足を拘束された形で横たえられて、娼婦の体を鳥が群がってついばんでいるという場面があった。これは確か登場人物の男のSM的な妄想として現れるシーンで、おそらく鳥葬のイメージから発想されているのではないか。
昼の間は、厚着をして、可能な限り窓という窓を全開にしていると昨日の日記に書いた。その窓の一つから、とても大きな、まるで屋根の上にベッドを置いてあるような感じでソーラーパネルを設置している家の屋根が見える。大きさや厚みがベッドくらいということと(屋根の大きさに対してかなり存在感がある)、屋根の傾斜が東西に向いているので、ソーラーパネルを南向きに傾けるために四本の脚がついて屋根から浮いていて(だから軽い傾きはあるのだが)、その脚がまたベッドを連想させる。
その屋根を見るたびに『上海異人娼館』のことが、ごく軽くではあるが頭のどこかをかすめる。映画の内容はほとんど憶えていないし、そもそもこの映画をちゃんと観たことがあるのかさえ怪しいのだけど(中学生くらいの時に観た予告編の映像が頭に残っているだけかもしれない)。
(窓を開けておくと、雀の声は常に聞こえているし、その屋根の向こうをカラスが飛んだりする。)