2019-05-15

●三国美千子「いかれころ」(「新潮」201811月号)が三島賞を受賞した。すばらしい。これはたいへんすばらしい小説なので、この機会に多くの人に読まれることになればいいと思う。

過去にこの日記に書いた「いかれころ」の感想。

https://furuyatoshihiro.hatenablog.com/entry/20181008

https://furuyatoshihiro.hatenablog.com/entry/20181009

https://furuyatoshihiro.hatenablog.com/entry/20181010

読んでいて強く感じるのは、おそらくこの作家は、天性の「小説が書ける(書けちゃう)人」なのではないか、ということだ(地肩がとても強いピッチャー、みたいな意味で)。それは、文体や文章という以上に、場面の作り方がめちゃくちゃ上手い、という感じ。そして、大きな小説を書ける、大きな作家になることのできる可能性をもっているのではないかとも思う。ここで「大きな小説」とは、「物語の構えが大きい(大きな物語)」という意味ではなく、たとえば、『明暗』とか『細雪』とか『枯木灘』とかみたいな、描かれている範囲や出来事は決して大きくないけど、そこに含まれているものがとても大きい、というような意味で。