2020-04-10

●日本の現代小説について、主に文芸誌に書いた原稿をまとめた『フィクションの音域 現代小説の考察』という電子書籍を、2014年の7月に自主制作でつくった。文芸評論(書評)を出版社から本として出してもらえることは期待できないなか、電子書籍ならば、「自分の手間」を度外視すれば制作費はゼロだから、もしこれがある程度読まれる(売れる)のなら、電子書籍の自主制作もありではないかという実験だったのだが、あまり売れなかったので一冊つくっただけで終わった。

(電子書籍という形でつくるとすごく手間がかかるので、今だったら、noteなどで課金するというやり方の方が手っ取り早いと考えるだろうが、「本」という形にこだわった。)

ただ、つくってからもうすぐ6年になるのだが、今でも、だいたいひと月に3、4冊くらいずつ地味に売れ続けている(このペースはここ数年かわらない)。複数の電子書籍ストアで取り扱ってもらっているが、たとえばアマゾンのKINDLEストアでは、定価が400円(税抜き)で印税率が25パーセントなので、一冊売れると100円入ってくる(印税率はストアによって微妙に違う)。印税は、五千円分たまると振り込まれることになっている。月に3、4冊というペースでは、一年でも五千円に達しないのだが。

だから、自分でも忘れた頃にふと、五千円たまったので来月振り込みますというメールがやってきて、昔の行いに対するごほうびをもらうような不思議な気持ちになる。そのメールが今日やってきた。

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