2020-04-11

●余計なお世話だが、大林宣彦への追悼として、その作品を何か一本観ようと思っている人がいたら(ぼくは今、それだけの時間の余裕もないのだが)、『HOUSE』でも『転校生』でも『さびしんぼう』でも『時をかける少女』でもなく、圧倒的に『花筐 HANAGATAMI』をお勧めしたい。これが---良くも悪くも---大林なのだ、とヒシヒシと感じられると思う(新作=遺作の公開は延期されてしまったが)。アマゾンのプライムビデオでなら、今、観られる。

●少し前に、遺作となった『海辺の映画館―キネマの玉手箱』の、東京国際映画祭での舞台挨拶の動画を観たら(動画を観た時には大林は生きていた)、常盤貴子が、「この映画は大林宣彦が走馬灯を前倒しで見せてくれたもので、大林の本当の走馬灯もこの映画と違いがないと思う」というようなことを言っていて、リアルに、今にも亡くなってしまいかねない人を目の前にして、「走馬灯」とか不吉なことがよく言えるよなあと思ったのだったが、これが最後の作品であると監督は覚悟し、その認識(覚悟)は、この映画にかかわる全ての人に既に共有されたものだったのかもしれない。

『海辺の映画館―キネマの玉手箱』舞台挨拶 大林宣彦監督 | "Labyrinth of Cinema" Nobuhiko Obayashi (Director)

https://www.youtube.com/watch?v=WjACnz7N7Lg