2020-07-24

●『MIU404』、第五話。地上波のゴールデンタイムで、人気俳優主演のドラマで、社会派としてここまで踏み込むのは、普通にすごいと思った。「夢の島」というタイトルもそうとう毒が効いてるし、「外国人は日本に来るな」という言葉をネトウヨとは反転させた意味で使っているのも毒が効いている。

『アンナチュラル』にしても『MIU404』にしても、社会的な主題を扱うフィクションとしての形式は、神山版「攻殻」から来ているのではないかと思った。国家的で、大きな権力をもつ組織のなかで、大勢に逆らって、でしゃばるというか、差し出た(と、周囲から見られなねない)行動をとっている人物がリーダーとなってつくられた組織があって(リーダーにはその動機と矜恃がある)、その組織はいわば体制内アウトローなので、敵と戦う(事件を解明する)と同時に、組織内の諸勢力との緊張関係が常に生じている(組織内に面白く思っていない勢力が多数ある)、という形式。一話完結形式から話が徐々に大きくひろがっていく、という点も共通している。神山版「攻殻」のアラマキに当たるのが、『アンナチュラル』では松重豊で、『MIU404』では麻生久美子になるし、草薙素子は、石原さとみ星野源(重大なスティグマ-トラウマをもつ)、バトーが、井浦新綾野剛(橋本じゅんの方がバトー感はあるが、そして岡田健史はトグサか)、公安九課に当たるのが、UDOラボであったり、第四機操であったりする。

そしておそらく、それ(公安九課、UDOラボ、第四機操)はTBSという大きな組織のなかでの、新井順子プロデューサーのチームでもある、という自負もあるのではないか。

(綾野剛が、本人がまったく無自覚なままで事件の本質に近いところを掴んでしまっている、ということが複線となっている、という形式が面白い。今回は伊達眼鏡とか。)