2020-10-22

●『藝人春秋2』(水道橋博士)に書かれていた、三浦雄一郎臨死体験(?)が興味深かったのでメモ。

1970年、エベレストと世界第四位の高峰ローツェの間にある、サウスコルと呼ばれる標高約8000メートルの鞍部からスキーによる滑降を試みた時、乱気流と氷壁にバランスを崩して、急斜面を真っ逆様に落ちるように滑落したが、運良く、氷河に落ちる寸前に柔らかい新雪に体を止められたことで一命をとりとめた。その時のことを、2017年6月13日にTBSラジオ伊集院光とらじおと」にゲスト出演して語った、その書き起こし。

《私の場合はいろいろとあるんですが一番はエベレストですね。標高8000mからスキーで滑落したんですよ。それも平均斜度がほぼ50度くらいで、ほとんど氷の斜面です》

《つま先から“墜ちる”みたいな断崖絶壁です。距離が3000mくらい氷の壁があります。で、8000mだと、空気が1/3しかないんです。スタートしてあっという間、五つ数えないうちに、時速が180kmを超えるんです。それで300km超えていきますから。そのまま行ったら石ころみたいに崖に墜ちて消える。だからブレーキにパラシュートを使うんです。これは富士山でやったら成功したんです。ところがエベレストは確かにパラシュートは開くけれども、突風と斜面が凸凹で、気がついたら両方のスキーが外れて、氷の壁を頭から墜っこっていくわけです》

《その時はねー、生きる死ぬというよりはね、どこの3千年、3万年、3臆年が経った……どこの星に居るんだろうっていう。生まれ変わりはなんだろうって。死ぬって意識じゃなかった》

《それで、空の上で、誰かが見ている、見られている感じがしながら、壁を墜ちていくわけです。死ぬ怖さよりも、もう輪廻転生といいますか、墜ちながらこのまま生まれ変わりはなんだろうというような好奇心がこみあげてくる。でも、まだどこかにこの世に戻る方法があるんじゃないかとも思ってる。そこから岩があって、これがジャンプ台みたいにポーンと10mくらい飛んだら、下もまた60度の斜面ですから、いったんポンと弾んで、その落ちた所に30cmくらいちょっと柔らかい雪、新雪がたまたまあったんです。それで1本のスキーはどっか飛んでいったんですけど、どういうわけか、もう1本のスキーは飛び降りてうつ伏せになった瞬間に、胸の内側のところにすっと入ってきた》

《それで、うまくその板に体重をかけて、やっとこれでブレーキみたいになって……止まったんです。止まってもしばらくは、今、私が来たのは……この世なのか、あの世なのか、どちらか分かんなかったの。しばらくしてから、あ、生きてる、生きてるんだというのが分かったというよりも、自分はもう一回、人間の姿で、三浦雄一郎って奴と巡り合ったと、そんな感じがしました》