2021-06-23

●『あの頃。』(今泉力哉)を観た。全体としては「友達が死ぬ」話なのだなと思った。「大豆田とわ子」も、友達が死ぬ話だったなあ、と。友達が死ぬ映画としてぼくがまず思うのはいまおかしんじなので、この映画にいまおかしんじが出てくる事に納得した。

(いまおかしんじ西田尚美が対になっている。いまおかしんじが「二十年後の自分(松坂桃李)」の抽象像というか、自分が二十年後にどうなっているか分からない---二十年後の自分には「モデル」がない---という茫洋さや不安定さを示すような人物だとしたら、西田尚美は、二十年後の自分の一つのあり得る具体像というか、二十年後の自分も大丈夫だという見通しを与えてくれる具体例となっている。だから、西田尚美の存在は、この映画のラストよりもさらに先の未来を示している。)

(いまおかしんじが「二十年後の自分」として出てきた時、ちょっと嫌な感じがして、その後、松坂桃李が急に何か建設的なことをしはじめたら嫌だなあと思ったのだが、その後に彼がはじめたバンドが「恋愛研究会」だったのでほっとした。いまおかしんじの存在が、たんなる否定的な媒介として使われていなくてよかった、と。)