雨、強風。大粒で方向の定まらないまばらな雨は、傘をどの方向へ向けてさしても、結局は濡れてしまうのだった。特に足元なんかすぐにぐっしょり。並木道の木々が強い風にあおられて、しなっては戻り、しなっては戻り、している。細い枝は、なぶられるように風に踊らされ、葉と葉が擦れあって、荒れた海の上にいるような乱れた音をたてている。風のゴーゴーいう音。電線がしなってひゅんびゅんいう音。交通標識やミラーがガタガタと揺れる。ビニール袋がバサバサいって道を転がる。
それでも空はあかるく、ところどころ青い晴れ間さえ覗いている。道ばたで座り込んでしまう。