6/10(土)

細かい雨。濡れそぼった橋の欄干の上を、みすぼらしい、茶色にトラ縞の猫が、滑り落ちそうになりながらも器用に、しかし、とぼとぼとあるいていた、午前6時前。

黄緑色の、2?足らずの小さな虫。細い胴体は、内蔵(って言うのか?)が透けて見えるような透明色。向こう側さえも、透けて見える。ごくごく小さな頭部のほとんどを占めている赤い大きな眼。弧を描いて長くのびている触覚が、常に微かに何かを探るようにうごいている。うんと細工の細かいレース編みのような羽根は、奇跡的に薄く、しかし身体全体よりおおきい。前足が短く、後ろ足が長いので、常に前傾姿勢。そんな虫が、バインダーに挟んである白い紙のうえにいた。いつづける。じっとしている。湿った朝。