07/10/22

●喫茶店に入るとうっすらと暖房が効いていて、上着を脱ぐ。そこに長時間居て表に出ると、寒いとまではいかないが、軽く火照った体が外気との予想外のギャップを感知する。火照るような人工的な暖かさのなかから、涼しいところへ出て行くという感じに、体が慣れていない。
この夏から出勤するかのように通っている喫茶店(二階にある)では、タバコは吸わないのに喫煙席に座る。窓際にあるから。もうもうと煙がたちこめているのは嫌だが、他の席からふわっと漂ってくるタバコの匂いは(花粉症の時期でなければ)嫌いではない。大学に入った年から二〇年近く通っている駅前の道を見下ろす。
中古のパソコンのバッテリーは三時間弱しかもたないから、原稿を書いていても、それ以上はつづけられない。それは、だらだらと惰性で続けずに作業を中断するよいきっかけではあるのだが、せっかくエンジンが暖まってきたところなのに、という時もある。オーダーし直して、新しく来たコーヒーを飲む。
パソコンをしまって、コーヒーの匂いを感じ、しばらくボーッとする。鞄から筆記用具と本を取り出す。ノートは使わず、必要があれば本の余白にごちゃごちゃと書き込む。あるいはメモ用紙(クロッキー帳だけど)を使い、本のページに挟んでおく。文庫本は携帯には便利だが、余白に書き込み難いのが困る。付箋を使うことは最近おぼえた。