●やってもやっても終わりがみえてこない用事と、先月書いた作家論の直しに追われているうちに、もう一つ別の短め原稿の締め切りが迫りつつあり、そのこともそろそろ考えはじめる必要が出て来た。暇な時はまるで何もすることがないのに、重なる時は重なる。五月六月は、自分としては考えられないくらい重なっていて、いま抱えていることが本当にちゃんと出来るのかと途方に暮れる。とはいえ生活はいたってのんびりとしていて、朝起きてコーヒーを飲みながら、今日は何しようかとぼんやり考えることから一日がはじまるし、雨が降っていなければ一、二時間は散歩するし、淡々とこなしてゆく以外どうしようもない先の長い用事をしている合間、合間には、かなりの時間ぼんやりしている。(ぼくの頭の基本設定は「ぼんやり」なので。)
●だが、こういう状況だとなかなか外へ出掛けることが出来なくなる。都心から離れたところに住んでいることもあって、どこかへ出掛けるとほぼ一日が潰れることになる。それに、これは年齢のせいもあるのだろうが、沢山の展覧会をまわるとか映画館をはしごするとかいうことが出来なくなった。あわただしく沢山のものを見てまわるよりも、一つの場所で落ち着いてそれをじっくり見たいという思いが強い(もともとケツが重いのだが)。見たものや読んだものを咀嚼する時間(ぼんやりする時間)も、何かを見る時間以上に重要だと思う。
●川村記念美術館のマティスとボナールは絶対見逃せない、と何度も思いつつ、川村記念美術館は微妙に遠くて、なかなか出掛けるきっかけを得られない。それと、横尾忠則は、もう一度体勢を立て直して再挑戦したい。今度はこちらとしても、それなりの作戦をたてた上で。
●『怪奇大家族』(9話~13話)をDVDで。面白かった。清水監督には、ハリウッドでえらくなっても、たまにはこういうこともまたやってほしい。それにしても、ぼくはどうも、UFOや宇宙人よりも幽霊の方が好きらしい。というか、幽霊のことを好き過ぎる。