●展覧会初日だけど会場には行けなかった。
明日のトークについては、制作などで忙しくてまったく準備していなくて、というか、そもそも、ちゃんと準備してちゃんと話す、というのとは違った感じで話が出来ないだろうかということを考えているわけなのだが、それでも、何について話すのか、どんな画集をもってゆくのかは決めなくちゃいけないので、それについて考えていた。
それで、ベタに、マティスピカソと、あと横尾忠則荒川修作について話そうとか思った(でも、この日記を書いたあとでまだ気が変わるかも)。マティスについては、線と面という異質な機能をもったものが、一つの画面で、どちらが主でどちらが従ということなく共存していることについて。つまり「線と面」という、超ベタな絵の話。ピカソについては、分析的キュビズムの袋小路からジャンプする時期に集中的につくられたコンストラクションの作品と、晩年のベラスケス「ラス・メニーナス」のヴァリアントの連作などから、「変換する」ことについて。横尾忠則荒川修作(このお二人は同じ年に生まれていて、誕生日も十日くらいしか違わない)については、これも超ベタに「重力と反転」について。線と面、変換、重力、反転は、ぼく自身の制作においてもとても重要なことなのだ。でも、それらの主題についてなにかまとまった展開のある話を考えているわけではなく、基本は「この作品、いいっすよねー」みたい感じで話が出来れば、と。
それにしても、そのために必要な図版の載った画集をあつめたらたいへんな重さになってしまって(画集は想定外に重い)、これをどうやって現場まで運べばいいのかと途方に暮れた。USBメモリに記録すれば簡単に持ち運べるのに。今回のトークで、パソコンとかプロジェクターとかを使わないのは、たんに会場の(と、ぼくの経済的な)事情からであって、別に情報の電子化に抗って、とかいうことではないです。でも、プロジェクターを背にして「発表」っぽく話すのではなくて、机に画集を広げて、それを取り囲んで覗き込むようにして話す、という姿勢の違いは重要ではないかと思う。そういう形で果たしてうまくいくかどうかはまったく読めないので、不安だけど。