●『海街diary』(吉田秋生)1〜6巻。ここのところいろいろなマンガを意識的に読んでいて、皆それぞれ面白かったのだが、それらがみんな吹き飛んでしまうくらいの衝撃。読んでいる間、心が完全にあちら側に吸い取られていて、こちら側のぼくの魂は抜けていた。凄過ぎて、素晴らしいという言葉しか出ない。
(思いの外ヘヴィーな内容だったので、読んでいる間は本気で苦しかったし、辛かったのだが。)
(こんな凄いものを読んでしまったので、映画版の方はしばらくの間は観る気になれないだろうなあ……。)
吉田秋生は、十代の時に『河よりも長くゆるやかに』が大好きで、何度も何度も読んでいたのだけど、『BANANA FISH』の途中までで読むのをやめてしまって(ぼくは長いストーリーマンガだとだいたい途中で飽きる)以来、『櫻の園』などをちょこっと読んでいるくらいでほぼノーチェックだった(ぼくのなかでは、『カリフォルニア物語』『吉祥天女』『河よりも長くゆるやかに』の三作で充足してしまっていた)のだけど、こんなにすごいところにまで到達していたのか、と。
吉田秋生の作品は、完結性が高いと言うか充足度が高いと言うか、ある作品を素晴らしいと思っても、同じ作者の別の作品を次々と読みたくなる、という感じがあまりない。
いや、そういうことではないのか。凄い作品を経験すると、その作品から受けたダメージもまた大きいので、すぐに別の作品へと移行することが出来ないということか。