●何かから逃避するかのようにここ数日マンガを読んでいる。『刻刻』(堀尾省太)全八巻を読んだ。面白かった。
ネタバレになってしまうけど、これって、敵同士であった佐河と樹里との「接触(=決裂した対話)」によって二人の間に子供が生まれた、という話と解釈することも出来ると思った。
●ここ四日で読んだ四つのマンガのうち浅野いにお以外の三つが、「家族関係」を作品の支えとなる(作品と読者とを結びつける)基底的な「感情」として置いていて、その三つのうちの二つ(『僕だけがいない街』『刻刻』)は、そのなかでも特に「母子関係」が強く効いている。これは最近の傾向なのだろうか。
(例えば『刻刻』で、間島とその兄という妹―兄関係が、その後――現実戻った時には――事実上、母―息子関係へと変換されてゆくことになるし、樹里と真との叔母―甥関係が、その後に出てくる「子供」を準備していると言える。実際の母―子関係は作中ではほぼ描かれないが、その代理としての叔母―甥関係が――それが代理でしかないという事実が――作中に「子供」を招き寄せているようにみえる。)