2019-10-08

●あまり期待することなく、なんとなく『昭和歌謡大全集(篠原哲雄)U-NEXTで観てみたのだが、はじめから低い期待の、さらに下をいく面白くなさだったが、「ああ、これは駄目だなあ」と思いながら(こんなところでご都合主義的に市川実和子原田芳雄のキャラに頼るなんてあまりに安易だろ…、とか、頭のなかでいろいろツッコミをいれながら)、なんとなく観ていた。しかし次第に、この話は、題材を真面目に受け止め、それをがっつり論理的に詰めていくようなタイプの作家が(一から書き換えるようにして)映画にし直したら、かなり面白くもなり得る「種」のようなものはあるのではないかと思うようになった。

(イメージとしては、万田邦敏濱口竜介、あるいは、アルノー・デプレシャン、などが思い浮かんだ。)

この話の主題は、社会的に恵まれた地位を得ながら、その地位や社会に疲弊しているような中年の女性たちと、そもそもの社会に位置をもてない若い男性たちとの間にある、根本的な相容れなさというか、世界のなかでの「位置づけの違い(関係性)」による相互無理解の絶対性のようなものだろう。その両者の闘争の様を、どちらにも傾くことなく、観ていて胃がキリキリと締めつけられるように、執拗に(逃げ道を一つ一つ断っていくように)ロジカルにゴリゴリと詰めていくように展開する映画として構築されれば、観るのには気が重いが、観たら観たで、ずっしりと重たく説得されざるをえないというような作品になり得るのではないか、と。

(でも、この考えそのものが、そもそも、あまりに映画が面白くないので、集中できずに「なんとなく」観ながら、その程度の頭のテンションのまま、「なんとなく」思い浮かべていた程度の安易な考えに過ぎないのだが。)