2021-06-17

●散歩していて、動揺してしまうくらいに強い既視感に襲われた。既視感という言い方は正確ではないか。今、住んでいるのは生まれ育った地元で、地形も風景も良く知っている。よく知っているはずの風景のなかに、今まで見逃していたものを発見して、あれ、こんなところにこんなものが…、と思った瞬間に、その発見したもの(マンションなのだが)と自分との間に、かなり遠い過去に、今は忘れてしまった、しかし何かとても重要なかかわりがあったのだという感覚が強く湧き上がってきたのだった。

場所は、通っていた小学校の割りと近くで、決められた登下校路ではないが、たまには気分を変えて違う道から帰ってみようと思う時に通った道沿いにある。そのせいか、その「重要なかかわり」があったのは小学生の頃ではないかという感じもあった。だがそれは、既視感(?)そのものに含まれている感じではなく、場所から自動的に導かれた推論によって付け加えられたものかもしれない。

内容はまったく空白だが、何かしらのかかわりがあったという強い感じだけがあって、しかしその何かをたぐり寄せるための手がかりはまったくない。そのマンションそのものが、遠い過去からそこに突然あらわれたかのような感じすらあった。散歩をしている間じゅうずっと、なんとも解決しようのないこの感覚に支配されていた。