●夢。朝、出かけるための支度で忙しなくしている時(一面が硝子張りで外の光がさんさんと注ぐ部屋にいる)に携帯に着信があった(夢のなかではじめてスマホを使う)。出ると、相手は五十歳代くらいの女性で、「あなたはわたしを裏切りましたね、あなたには大変失望しています」と冷静だが厳しい調子で言われる。この電話を受けている「ぼく」は三十歳くらいであるようだ。電話の相手が「先生」だと分かり、これはまったく身に覚えのないことで、今からすぐにでも「先生」のところに出かけていって丁寧に説明をしなければいけないと思うのだが、今日は一日決して抜けられない用事があるのだ。先生、それは誤解です、改めてきちんと説明にうかがいますが、今日のところは…と言い終わらないうちに、いいえ、説明には及びません、こちらにお越しになる必要はありません、と、にべもなく通話は切られる。用事に遅れるわけにはいかないのでそのまま支度をつづけながら、今すぐに「先生」のところに出向いて経緯を説明して弁明したいのに、それができないことへの苛立ちと強い焦燥感がわき上がり、それによって目が覚める。
特になんという面白味もない夢かもしれないが、いままでこういう感じの夢を見たという記憶がない。とても自分が見る夢とは思えない夢で(夢のなかの自分も自分ではないかのようだった)、まるで他人の夢に入り込んだかのように馴染みのない、疎遠な、異物のような夢だった。このような夢を自分がみたということに驚いたのだ。