●三、四十分くらい眠ってすっきりしてから作業をつづけようと思った。肩がこっている時の短い睡眠でよくその姿勢をするのだが、仰向けで、両腕で顔を囲むように輪をつくって、右手と左手の指を組み、伸びをしている姿勢を眠っている間もキープするようにして眠る。
眠りに入ってすぐ夢をみる。その夢で、細長い板なのか、長い棒なのか、とにかく木でできた長いものを両手でつかんで頭の上に掲げている。つまり、眠っている(実際の)姿勢とほぼ同じく両腕を上に掲げているが、実際の姿勢では指と指とを組んだ状態なので左右の手の距離はゼロなのに、夢の中の姿勢では、長いものを持っているので右手と左手の間には距離がある。実際の姿勢が夢に反映されているがズレもある。夢の中で、掲げている木の板だか棒だかの、右手が握っている部分の近くに、穴なのか節なのか分からないが、凹凸があることを右手が感じる。右手の人差し指がそれを確かめようと無意識のうちに動く(夢の中の動きと同期して、実際の指も動いたのだろう)。その時、右手の人差し指が確認しようとした木の凹凸が、実は左手の人差し指の根本にある関節の突起だったと気づく。夢が破綻して目覚める。
この時、触れている客体(木材)だと思っていたものが触れられている自分だったという逆転と、左右の手の間にあったはずの距離がしゅるしゅるっと消滅するという、二つのことが一挙に起こった。このような、空間-身体図式のローカルの失調のようなものに、ぼくは強く惹かれる。