●これを書いている今は既に年を越している。友人からもらったCDから、忌野清志郎小沢健二が流れていた間のいつかに年を越したみたいだった。
●一日、何をやっていたのだろうか。買い物以外に外には出なかった。年内にやらなければいけないことは、とりあえず昨日までに済ませた。今更大掃除するっていう感じでもない。ベケットを断片的に読んだ。ツタヤからレンタルしている『叫』か『悪夢探偵』を観ようかと思ったが、なんとなく映画を観る気分ではなかったので、ただ、ぼんやりしていた。
●原稿を書く関係で、9、10、11月の三か月くらいで、五十本以上の映画を観た。すべて、既に観たことのあるものをビデオやDVDで観直す、という形だけど。こういう機会でもなければ、なかなか観直さないような映画を、短期間で観直すという経験は、とても面白かったし、自分にとって大きかったと思う。たんに、忘れている細部や記憶違いがあったという以上の「これってこんな映画だったのか」という発見が多くあった。というか、「映画ってこういうことなのか」的な発見もあった。
それとほぼ同じ時期に、集中的に制作をしていた。起きて、午前中に制作して、午後にすこしぼんやして(散歩に出たり)、夕方DVDを観て、夜、それについて書く、という日が多くあった。そのため、この期間は、ほとんど外に出なかったし(重要な展覧会がいくつも観られなかった)、本もほとんど読まなかった(お金を製作費にあてるためにほとんど本が買えなかったし、交通費も厳しかった、ということもあるけど)。
●自分が日記に書いた夢の記述をいくつか読み返した。面白かった。意外なことに、読むと、けっこう(まったく忘れていた)その夢の感触を思い出すのだった。
●2010年は作品を発表する機会が三度もあったのが、とてもよかった。特に、個展という形での展示は2006年以来なので、気合が入った。改めて、展示の機会を与えてくれた方々、展覧会に協力してくれた方々、作品を見に来てくれた方々に感謝したいと思います。
(自分が画家であること、画家でしかないこと、は、自分にとっては自明なことだけど、他人にとっては必ずしもそうではない。展覧会を観てくれた何人かの人から「古谷さんは文章の人だという印象だったけど、そうじゃないんですね」というようなことを言われたのは、素朴にうれしかった。)