●六本木の国立新美術館で、大原美術館のコレクション展の内覧会があった。展覧会としてのコンセプトがどうこうというようなものではないけど、大原美術館のコレクションの充実が感じられる展示で、久しぶりに素朴な絵画マニアになって絵画を堪能した。内覧会は、最初は人が沢山いるけど、終了間際にはまばらになるので、ゆったり観ることができた。松本俊介とか国吉康雄とか、改めて、好きだなあ、ツボだなあと思う。
(ブリヂストン美術館が改装中なので、素朴な絵画好きになれる機会がきわめて希少になってしまっている。)
新しい作家を発見したという意味でもよい展示だった(大原美術館は若手作家への支援を行っていて、古典のコレクションだけでなくその成果も展示されている)。坂本夏子という名前は(おそらくqpさんのブログを通じてだと思うけど)聞いたことがあるし、前にARATANIURANOでやっていた「夏と画家」という展覧会で小品は観ている(その時はコラボレーションの作品で、ぼくにはぴんとこなかった)のだけど、今までは特に意識したことはなかった。でも、今回展示されていた「訪問者」という大型の絵画作品はとても素晴らしいものだった。ケレンも媚びもなく、懐古趣味でも新しがりでもなく、オーソドックスでありつつ新鮮(「このキャンバス」の上で絵の具によって新しく生まれた何か、という感じ)で、直球勝負の「絵画」を観てまだこんなに「驚く」ことが出来るのか、ということに驚いた。
単純に、「こんなに上手い人がいるんだ」という驚きでもある(ここで「上手い」とは、油絵具というメディウムに対する熟練度というか、油絵具のポテンシャルを最大限に引き出せている、という意味)。