2024-11-02

⚫︎お知らせ。VECTIONとして、mirrorに『「政党全廃に関する覚書」についての覚書』というテキストを公開しました。扉の画像は、ぼくの作品を素材にして、きくやさんがミッドジャーニーを使って加工したものです。

mirror.xyz

かなり非常識な主張をしているという自覚はありますが、極端に偏ったことや突飛なことを言っているとは思いません。実現可能性という意味ではとても遠いかもしれませんが(そもそも憲法を変える必要がある)、ごく素直に、論理的に考えればこうなるだろうということです。またこれは、表象・代表的な民主主義からシミュレーション的な民主主義へ、という方向性を持った話でもあると思います。

シモーヌ・ヴェイユ「政党全廃に関する覚書」というテキストで、「政党」こそが民主主義を毀損すると主張し、政党の存在を禁止し、議員は(人々もまた)常に個としてあり、議題ごとに、その度ごとに集合離散するべきだと主張する。この部分は我々VECTIONも基本的に同意する。しかしそこには(ヴェイユが見逃している)大きな問題がある。権力拡大には多数派工作が必要であり、そのために政党を作るモチベーションは常に存在してしまう。だから、それを規制するためには、人々の政治活動を監視し、それを制限する権力を持つ組織が必要となり、しかし、その組織は事実上、秘密警察や思想警察と等しいものになってしまう、ということだ。

この問題を解決するために、まずは「監視の対象」を、選挙によって当選した議員のみに強く限定するという提案をする。議員である間だけは、厳しく監視され、政党活動が禁止される、というように。しかしこの場合、議員は当選以前には政党に属してしまっている可能性が高い。

だから、そこからさらに歩を進めて、監視の対象となる「議員(代議士)」の選出を、選挙という方法によってではなく、陪審員(裁判員)と同様に、すべての有資格者の中からランダムに抽出するというやり方にした方が良いのではないかと提案し、それをサンプリング議員とする。この場合、誰が代議士になるのかを事前に予測することは不可能となるので、議会の外での「政党活動」や「権力抗争」が議会内に持ち込まれる可能性が著しく低くなる。そして、議会を構成する代議士としてサンプリング議員を採用することによる、(現状と比べての)メリットとデメリットとを検討する。そういうテキストです。

夢物語とか、SFのようなものとして流されてしまうとは思いますが、こういうことを真剣に考えることが、我々にとっての、将来に対するせめてもの責任ではないかと考えています。