2019-02-21

●もう少し、国立西洋美術館ル・コルビュジエ 絵画から建築へ---ピュリズムの時代」について。

ル・コルビュジエの画家としての名前はシャルル=エドゥアール・ジャンヌレという。というか、こちらの方が本名だ。しかし、1928年以降は、絵画作品にもル・コルビュジエという建築家としての名を署名するようになった。そして、それ以降の絵画作品はかなりやばい。特に、この展覧会で展示されている作品のなかでもっとも後期のものである「レア」(1932年)という絵がやばい。

どうしてもデヴィッド・リンチを連想してしまうのだが、中空にいきなり巨大な牡蠣が浮いていたり、大木の幹がぬるっとした奇妙な表情で描かれていたりしているし、時空の接合が唐突で、スケール感のゆがみ方も異様だし、配色も微妙に気持ち悪い。

この絵を、抑制的で均整のとれた美しさをもつ(近代の住宅建築の代表作とみなされているような) スタイン=モンツィ邸やサヴォア邸をつくった人が、それとかなり近い時期に描いているということが面白い。建築における端正さと、絵画における、抑制が外れたようなゆがんだ気持ち悪さとが、一人の人に同居しているという、そのことが味わい深い。

(この時期の絵画では、建築へと昇華されていく手前の、混沌とした何かが直接的に捉えられていたのかもしれない。)